東京湾の天秤タチウオ(エサ釣り)入門
サバ短冊を縫い刺しにして、しゃくって待つ。食い込ませる釣り
竿先を海面近くまで下げ、胸の高さまでシャクリ上げて、ひと呼吸。また竿を下げながらリールを小さく巻く——東京湾の天秤タチウオは、この繰り返しでサバ短冊を漂わせ、食い込むのを待つエサ釣りです。舞台は走水沖や観音崎沖。シーズンはほぼ周年で、盛期は6〜9月の夏タチです。テンヤのようにエサを針金で巻く細工はなく、船宿が用意する短冊を針に縫い刺しにして、片テンビンの先の2mのハリスで吹き流します。道具は2m前後の専用竿か流用のライトゲームロッドに小型電動(浅場の時期は手巻きでも)。カタカタという前アタリを我慢して、竿が引き込まれてから大きく合わせる——この我慢ひとつで釣果が変わる、駆け引きの濃い釣りです。仕掛けの基準、短冊の付け方、誘いとアワセの順に追っていきます。
- 仕掛けは片テンビン50cm+フロロハリス8号2m+タチウオ針2/0が東京湾の基準
- オモリは60号が基準。船の指示が最優先で、夏の浅場40号・秋冬の深場80号(80〜120号指定の船もある)
- エサはサバ短冊とコノシロ短冊。船宿支給が標準で、中心線を縫い刺しにしてタラシ2〜3cm
- 誘いはシャクリ→一瞬止め→竿を下げながら小刻みに巻く、の繰り返し。1シャクリの巻きはハンドル1/8〜1/2回転
- 前アタリ(カタカタ)では合わせない。竿が引き込まれる本アタリで大きくアワセ
- 指示ダナは範囲で出る。下限まで落として上限へ探り上げるのが基本形
テンヤとの違いと持ち味
東京湾のタチウオ船は、テンヤ・天秤(エサ)・ジギングの三本柱で、船宿ごとに看板の釣法が違います。天秤タチウオはその中のエサ釣り担当。片テンビンの先に2mほどのハリスを結び、サバやコノシロの短冊を付けて潮に吹き流す仕掛けです。
テンヤとの一番の違いは、エサとの付き合い方です。テンヤはイワシを針金でテンヤに巻き付け、先調子の竿でアタリを即掛けする攻めの釣り。天秤は短冊を針に縫い刺しにして漂わせ、タチウオがエサを食い込むまで待ってから合わせる釣りです。針金細工の工程がなく、エサの短冊を船宿が用意してくれる船が大半なので、船のエサ釣りが初めてでも入りやすい側と言えます。かわりに、前アタリで手を出さない我慢と、短冊がまっすぐ付いているかの姿勢管理が釣果を分けます。
タックルと仕掛けの基準
| 道具 | 東京湾の基準 | メモ |
|---|---|---|
| ロッド | 天秤タチウオ専用2.0m・7:3〜6:4調子(オモリ負荷〜100号) | ライトゲームロッド2m(先調子)の流用でも成立 |
| リール | 小型電動 | 水深60mまでなら小型両軸の手巻きでも。深場は電動の出番 |
| 道糸 | PE1.5号200m | 深場はPE2号300m。弁天屋は「PE2号以下厳守」=太くしない |
| テンビン | 片テンビン50cm(ストレートアーム) | 短めの30cmも使われる。船宿図の腕長は40〜50cm(一之瀬丸) |
| オモリ | 60号(船の指示で統一) | 夏の浅場40号・秋冬の深場80号(弁天屋=40・60・80号を時期で使い分け)。80〜120号指定の船もある(一之瀬丸のノーマル船) |
| ハリス | フロロ8号2m | 細めはフロロ6号2m。船宿図は6〜8号・全長2〜3m(一之瀬丸) |
| 針 | タチウオ針2/0・1〜2本 | ケン付タチウオ針(打木屋=サーベルフックX 1/0〜2/0)やワームフック#1/0(一之瀬丸)。チモトは夜光パイプや蛍光管2cmで保護 |
各値はリグ(東京湾・天秤タチウオ)の候補値で、適合製品と根拠の出典は一式ページにまとめています。オモリとPEの号数は乗る船の規定が最優先なので、予約の電話で「オモリは何号ですか」と確認しておくと外しません。竿とリールの選び方は竿とリールの記事で深掘りします。
季節で変わる水深
タチウオをほぼ周年狙えるのが東京湾の特徴で、盛期は6〜9月の夏タチです。季節で変わるのは水深。夏は富津や第二海堡周りの約30mから猿島沖の50〜60m、秋は60〜80m、11月以降の冬は観音崎沖の80〜100m超の深場へ移ります。羽田のえさ政が案内する実勢も観音崎沖の70〜110mです。
この水深の振れ幅が、そのまま道具の振れ幅になります。オモリは60号を基準に、夏の浅場は40号、秋冬の深場は80号へ。リールは小型電動が標準ですが、水深60mまでなら小型両軸の手巻きでも成立します。つまり夏に始めれば手巻きの軽装で入門でき、冬の深場は電動の出番、という季節の使い分けです。
エサはサバ短冊の縫い刺し
エサは船宿が用意するのが東京湾の標準で、サバ短冊とコノシロ短冊が二大定番です。カット済みの短冊を配る船もあります。サンマは東京湾では使用禁止です(脂で船上が滑る・流されてオマツリが増えるため)。他海域の感覚で持ち込まないこと。
付け方は縫い刺しが標準です。真っ直ぐに切られた側の端から針を入れ、短冊の中心線に沿って縫い、皮側に針先を出します。針から下のタラシは2〜3cm。つり人webの走水沖取材では3点で縫う「3点縫い」が紹介されています。針が中心線から外れたり短冊が曲がったりすると、水中で短冊が回転して食いが激減するので、投入のたびにまっすぐ付いているかを確かめます。チョン掛けは食い渋り時の変化技という位置づけです。
自分で短冊を切り直す場合は、針を刺す上端を平行に真っ直ぐ、反対側を斜めに落とすとヒラヒラ感が出ます。皮付きがベストで、皮の側に針先が出るように刺します。
タナ取りと誘いの定石
- 1タナ取り=指示ダナの下限から
タナは「40mから25mまで」のように範囲でアナウンスされます(打木屋の指示タナ例)。まず下限の深さまで仕掛けを落とし、そこから誘いながら上限へ向けて探り上げるのが基本形です。つり人webの走水沖取材では、指示ダナ56mに対しまずハリス分の2mを巻いてスタートし、ダナの上8mまで探っています。タナは刻々と変わるので、アナウンスのたびに取り直します。
- 2シャクリ→一瞬止め→下げながら巻く
竿先を海面近くまで下げ、45度〜水平(胸の高さ)を目安にシャクリ上げて一瞬止め、竿を下げながら小刻みに巻く——この繰り返しが基本動作です。1シャクリあたりの巻きは編集系の解説でハンドル1/8〜1/2回転、渋いほど小さく。船宿によっては下げながら2〜3回転と大きく巻く流儀(えさ政)もあるので、迷ったら小さめから始めて船の指示に合わせます。糸フケを作らないよう、竿の下げと巻きを同調させます。
- 3止め(ステイ)で食わせの間
シャクリの後の止めで、漂う短冊を見せて食わせの間を作ります。止めを入れること自体はどの流儀にも共通ですが、秒数に統一値はありません。短い止めで反応がない日は長さを変えて、その日の当たりパターンを探します。
- 4電動は微速巻きが近年の型
電動リールの微速巻き(デッドスロー)で巻き続けながらシャクリを混ぜる誘いが、近年の東京湾で広まっています。電動を使わない場合も、シャクリ→止め→小刻み巻きの基本動作で十分成立します。
本アタリまで待つアワセ
アタリは多くの場合、二段階で来ます。最初はカタカタという小さな前アタリや、竿先が重くなるモタレ。ここで合わせても掛かりません。誘いのリズムを保ったまま、竿が引き込まれる本アタリを待ちます。本アタリが出たら、しっかり大きく合わせます。タチウオの口は硬く、弱いアワセでは針が立たないためです。
引き込みがはっきりしない日は、ゆっくり聞き上げて重みが乗ったところで合わせるスイープ型でも同じことです。つり人webの取材で名手・高槻慧さんは「合わせる意識をもたない」と表現していますが、これは前アタリで手を出さないための心構えで、本アタリの掛けは強く。掛けたあとの巻き上げは中速で(えさ政の案内)。
いま買える適合テンビン
※ 一式ページと同じ条件でメーカーカタログと突合した適合品です(10/27時点)。同条件のシリーズが他に11件あります。全候補は一式ページ(東京湾)で比較できます。
よくある質問
- テンヤと天秤、どちらが釣れる?
- どちらが釣れると言い切れる出典はありません。弁天屋のように天秤とテンヤが同じ船で成立する例もあります。性格の違いは冒頭の「テンヤとの違い」の通りで、針金細工なしで始めたい・待ちの駆け引きから入りたいなら天秤、即掛けの攻めならテンヤ。テンヤ側は東京湾テンヤの記事で解説します。
- 針は1本と2本、どちらがいい?
- 編集系の解説は1本針推奨が多数派(理由は絡みトラブルの少なさ)で、打木屋も公式に1本針を推奨しています。一方で船宿の公式仕掛け図では2本針が現役です。えさ政は幹糸40cm・全長3mの2本針、一之瀬丸は枝間70cm・全長2〜3mの2本針を図示しています。初めてなら絡みの少ない1本針から、乗る船が2本針の図を掲げているならそれに合わせる、で困りません。
- ワイヤーリーダーは要る?
- 天秤タチウオの船宿公式(一之瀬丸・弁天屋など)は、ワイヤーの可否を明文化していません。公式の仕掛け図や規定はフロロ・ナイロンの号数指定のみです(一之瀬丸=ハリス6〜8号、弁天屋=ハリス8〜12号)。一方、同じ東京湾でもテンヤ側にはワイヤー禁止を明記する船(走水・教至丸)があるので、使いたければ船宿への事前確認が作法。チモト(結び目)の保護は、夜光パイプや蛍光管2cmを被せるのが公式図の実態です。海域や釣法でワイヤーの流儀がどう割れるかはリーダーの記事で整理します。
ロッド・リール・道糸・テンビン/ビシ・クッション・仕掛け——この釣りに必要な装備は、号数や適合の条件が自動で揃う一式ページでまとめて確認できます。
▶ 東京湾の天秤タチウオ(エサ釣り)入門の一式ページを見る(全候補から選ぶ)参考にした情報源
- 一之瀬丸(金沢八景)(公式図で片天秤40〜50cm・オモリはノーマル80〜120号/LT40〜60号・ハリス6〜8号全長2〜3m・2本針(枝間70cm)・ワームフック#1/0・チモト夜光パイプを確認。ワイヤーへの言及なし。)
- えさ政釣船店(羽田)(弓型固定片天秤・オモリ100号・幹糸40cm全長3mの2本針・チモト蛍光管2cm・観音崎沖70〜110m・誘い(水面→胸の高さ→ひと呼吸→下げつつ巻き)・中速取り込みを確認。)
- 打木屋釣船店(横浜新山下)(チドリ天秤・オモリ40〜80号・フロロ6〜7号2m・1本針推奨・サーベルフックX(ダブルケン付)1/0〜2/0・エサ=サバ/コノシロ切り身・指示タナ例40→25mを確認。)
- 弁天屋(金沢八景)釣りプラン・料金(天秤=PE2号以下厳守・オモリ40/60/80号(時期による)・ハリス8〜12号・サーベルフック2/0か3/0。テンヤと同船で両釣法が成立。ワイヤーへの言及なし。)
- つり人web(弁天屋・走水沖取材)(3点縫い刺し・タラシはハリ2本分・オモリ60号・ハリス8号2m・45度シャクリ・1シャクリ1/4〜1/2回転・指示ダナ56m例(ハリス分2m巻いてスタート・ダナ上8mまで探る)・「合わせる意識をもたない」を確認。)
- TSURINEWS 天秤タチウオ徹底解説(腕長40〜50cm・ハリス6〜8号2m・針1/0〜3/0・縫い刺し手順とタラシ2〜3cm・45度シャクってステイ・1/8〜1/4回転・電動微速巻き+シャクリを確認。)
- つりそく タチウオのエサ3選(サバ/コノシロ=東京湾の二大定番・サンマは東京湾で禁止エリア多数・皮付きベスト・短冊の中心線を縫うことを確認。)
- ORETSURI 東京湾LTタチウオ(縫い刺し手順・タラシ2〜3cm・指示ダナは下限→上限へ探り上げ・夏30m(富津/第二海堡)〜秋冬80〜100m(観音崎/走水)の水深推移を確認。)
最終更新: 2026-09-06 / 釣りスレッド 編集部